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S・S・オレ・サンカン 『我ら、マサイ族』
S・S・オレ・サンカン 佐藤俊訳 『我ら、マサイ族』 どうぶつ社
現在のケニアからタンザニアにかけて居住する牧畜民マサイ族。勇猛果敢な戦士として、ライオン狩りの勇士として、しばしば畏怖を込めたイメージで語られるそのマサイ族の長老が、急速なグローバル化の中で失われていくマサイ文化を後世に残すべく記述した本です。
序文によれば本書は青少年に対するマサイ文化の教育を目的としているとのことで、宗教儀礼や年齢組等の社会組織、あるいは神話や「なぞなぞ」「ことわざ」といった伝承など、マサイ文化の全般についてを平易な語り口で肯定的に記述したものとなっています。
一読して印象的であったのは、著者が西欧による植民地支配を必ずしも否定的に捉えているわけではないこと。西欧人の入植によって続いていた内紛が収まったことにはむしろ感謝するべきかもしれないとまで言っているわけで、これには少々意外の念を覚えました。宗主国との地理的な距離が影響しているのでしょうか?サイードの著作などと比較すると面白いのかもしれません。
ただ書物としての性格上、民族誌として読むならば物足りない面があるのは否めません。特に、完全な遊牧を営んでいた部族もいれば農耕生活をしていた部族もいたように、様々な支族からなり決して一枚岩ではないマサイ族を「誇り高き牧畜民」として一面化してしまうような点。
もちろん著述の意図としては、マサイの民族的アイデンティティを保持しようというところにあるんだから、むしろその一面化を目指しているわけで、これが無責任な部外者によるお門違いな不満であるのは重々承知しているわけですが。
いずれにせよ、西洋人観察者の視点ではない内部からの声として、この本が比類のない価値を持っているのは間違いのないことでしょう。
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現在のケニアからタンザニアにかけて居住する牧畜民マサイ族。勇猛果敢な戦士として、ライオン狩りの勇士として、しばしば畏怖を込めたイメージで語られるそのマサイ族の長老が、急速なグローバル化の中で失われていくマサイ文化を後世に残すべく記述した本です。
序文によれば本書は青少年に対するマサイ文化の教育を目的としているとのことで、宗教儀礼や年齢組等の社会組織、あるいは神話や「なぞなぞ」「ことわざ」といった伝承など、マサイ文化の全般についてを平易な語り口で肯定的に記述したものとなっています。
一読して印象的であったのは、著者が西欧による植民地支配を必ずしも否定的に捉えているわけではないこと。西欧人の入植によって続いていた内紛が収まったことにはむしろ感謝するべきかもしれないとまで言っているわけで、これには少々意外の念を覚えました。宗主国との地理的な距離が影響しているのでしょうか?サイードの著作などと比較すると面白いのかもしれません。
ただ書物としての性格上、民族誌として読むならば物足りない面があるのは否めません。特に、完全な遊牧を営んでいた部族もいれば農耕生活をしていた部族もいたように、様々な支族からなり決して一枚岩ではないマサイ族を「誇り高き牧畜民」として一面化してしまうような点。
もちろん著述の意図としては、マサイの民族的アイデンティティを保持しようというところにあるんだから、むしろその一面化を目指しているわけで、これが無責任な部外者によるお門違いな不満であるのは重々承知しているわけですが。
いずれにせよ、西洋人観察者の視点ではない内部からの声として、この本が比類のない価値を持っているのは間違いのないことでしょう。
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