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竹熊健太郎 『箆棒な人々』

竹熊健太郎 『箆棒な人々』 河出文庫



大変面白い本でした。
編集者として活躍する著者が、決して教科書には載らないながらも昭和のサブカルチャー史に偉大な足跡を残した人々にインタビューし、その半生を再構成するという趣旨の本。かつて『クイック・ジャパン』誌に連載されていた記事をまとめたものとのこと。


そんな本書の登場人物は以下の四人。紹介文はブログ子の独断交じりなので、興味持ったら自分でググってみてくださいー


康芳夫(1937〜):「猪木対アリ」や「オリバー君」等の企画を手がけたプロモーターの元祖。というかまさに「呼び屋」というのが相応しい怪人物。『家畜人ヤプー』の出版プロデューサーでもあるそうですが、小生これは初耳。

石原豪人(1923〜1998):画家・イラストレーター。戦前より内蒙古で看板絵師として名を馳せ、従軍しては諜報員として活動を行うも終戦に伴い帰国。その後は紙芝居や児童書の挿絵からSM雑誌・ホモ雑誌のイラストまで手がける人気画家として活躍。

川内康範(1920〜2008):月光仮面の原作者であり、近年は森進一との「おふくろさん」騒動でも有名な人。政治や裏社会ともつながりがあるらしい。かなり右寄りな人と思われていますが、海軍は仮病を使って除隊になったそうです。

糸井貫二(1920〜):赤瀬川原平(尾辻克彦)の著作にもチョロっと出てきてた、ダダイストの芸術家。通称「ダダカン」。大阪万博で全裸パフォーマンスを行って逮捕されたり、一万円札を燃やしたり、とにかくカッコ良い。タンポポを食べているのは事実みたいです。


で、上記の四人に共通するのは、いずれも戦時下に少年時代を送ったということ。いずれも波乱万丈の半生を、さも当然のように語っていて大変刺激的です。そして敗戦によってすべてがリセットされた何でもありの日本で、個人の才覚によって新しい秩序を作り出した彼らの活躍は、うらやましいようでもありとても真似できないようでもあり。毀誉褒貶こそあれ、尊敬すべきかつ愛すべき先達たちであることは間違いありません。


いずれの章も素晴らしいのですが、本書のクライマックスは著者がダダカンに会いに行くシーン。
彼の章だけはほかの三人とちょっと毛色が違います。マスコミ嫌いで連絡先すらわからないダダカン氏について、彼の知人たちの証言を少しづつ集めてその人物像に迫っていくという、ルポルタージュ的な形式をとっているのです。

そして多少の嘘を交えつつなんとかアポを取り、本当に会えるのかもはっきりしないまま仙台へ飛ぶ著者一行。そこに飄然と現れる老いたダダカン。『津軽』で太宰がたけと巡り会ったシーンを彷彿とさせるほど感動的な場面です。


荒俣宏『奇っ怪紳士録』の昭和版とも言うべき一冊でした。


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2008年11月30日  未分類 トラックバック:0 コメント:0












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